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4.3 解析データの考察

4.3.1 解析データの検証
(1)短期計測データの検証
数値計算による運動、波浪荷重などの長期予測では、実海域の短期海象における運動、波浪荷重などの振幅の頻度分布がレーレー分布で表されると仮定し、波スペクトルと運動の周波数応答関数から計算される運動の標準偏差を用いて、様々な計算を行なっている。そこで、短期計測データの統計的な性質を明らかにするため、極値解析(ゼロアップクロス法)から得られる両振幅の最大値、1/10最大平均値、1/3最大平均値、平均値とスペクトル解析から得られる標準偏差σをSHIP−Aの7次航、SHIP−Bの5次航の短期計測データについての比較を行なった。以下にその概要を示す。
・波高計で計測された波高は、極値解析の結果は相対波高と実波高ともにレーレー分布を仮定したものより低くなっている。これは、自船の動揺による波、および船体による反射波の影響、波高計位置での上下変位の影響を精度よく取り除けていないためと考えられる。
・運動・加速度、応力の極値解析の結果はスペクトル解析の推定結果とよく一致している。横揺れ、左右加速度については横揺れ振幅の二乗で減衰力が大きくなる非線形影響、およびSHIP−Aではさらに横揺れ固有周期が波の周期と異なることからスペクトルが広帯域になるために、極値解析の1/10最大値、最大値はスペクトル解析の推定結果より低くなっている。
・水面付近の水圧は、動揺振幅が小さい場合、スペクトル解析からの推定結果とよく一致しているが、動揺振幅が大きい場合、圧力の計測部分が水面から露出するため波形が半波となり、スペクトル解析の結果より極値解析の結果は全体的に小さくなる。他の部分については、スペクトル解析と極値解析の結果はよく一致している。
この結果、各計測項目の極値解析の結果は、最大値を除いてレーレー分布を仮定した代表値とよく一致することが明かとなった。したがって、数値計算で運動、波浪荷重などの長期予測する場合、レーレー分布を仮定しても実用上問題ないと考えられる。
(2)長期計測データの検証
SHIP−A(コンテナ船)の長期計測結果から、その全体の山数は1x106〜107となり、累積確率の傾向は各計測項目ともに妥当な結果である。また、運動、加速度の物理量は、常識的な結果となっている。波浪変動圧は水面よりやや下の船側が最も高く、船底部分が小さい。水面の水圧は北米航路の復路では波が右舷から船体に入射してくるため、右舷の方が左舷のより大きくなっている。
SHIP−B(バルクキャリア)の長期計測結果から、その全体の山数は1x105〜106となり、累積確率の傾向は各計測項目ともに妥当な結果である。また、運動、加速度については常識的な結果となっている。波浪変動圧は水面よりやや下の船側が最も高く、船底部分が小さい結果となっている。SHIP−Bでは、水面の水圧は左右舷共にほぼ同じ値となっている。

 

 

 

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